ごあいさつ

奈良俵屋工房の高橋亮馬です

絵を始めて昨年で半世紀が経ちました。最初は頂いた国内メーカーの絵具セットで描いていましたが、
レンブラントやベラスケスを複製するには間に合わなくなり、ターレンスやラウニー、ルフランを使
いましたが、海外の技法書やカタログが読めるようになった頃から、顔料・結合剤・助剤・・と原素
材を探し集めて自製するようになっていました。それから四十年、気が付けば国立博物館で学者さん
や行政の方々、文化事業会社の皆さんの中で、案件に関する所見や複製術の展開などを説明している
自分がいました。

そもそも絵を始めた当初から、自分が描きたかったファンエイクやレンブラントの画材や技法を教え
てくれる絵の先生はいませんでした。技法書も探しましたが、手仕事としての絵の現場を知らない素
人同様の学者たちが書いたり翻訳したりしたものなので、実際に活用できるものは皆無といっても良
いくらいでした。

そこで考えたのが「名画から直接学ぼう」ということです。

名画には、謎も・仮説も・間違った情報も全くなく真実ばかりでした。

「分からないことは名画に聞け」すべての答えは名画に備わっているのです。

そして、それを何度も紐解くことで、当時の材料事情やそれを扱う技術などが見えてくるだけでなく、
その絵が「どの時代の・どの場所で・どのような画家が・何のために描いたのか」など、数百年前の
工房の情景なども見えてくるのです。それはまるでシャーロックホームズが推理して真実を実証する
ようでもあります。

絵は何とも不思議な世界ですが、そんな世界で培ってきた経験と
技術を通じて、絵を描かれる皆様、そして、絵画の愛好家の皆様
のお役に立てるような絵画美術のホームページにしたいと思って
います。

なお、奈良俵屋工房は、奥大和の大自然からの恵みを頂きながら
俵屋農園や「幸せの青い卵」のアローカナの養鶏なども行ってい
ます。お近くにお越しの際は、ぜひ、お立ち寄りくださいませ。

奈良俵屋工房
高橋亮馬